クエストについて
【2017年1月18日】
ratoonを開設して7ヶ月がたち、現在ratoonでは、来年度に向けて少しづつ準備を始めています。
その中で「クエスト」ということについて少し書きたいと思います。
ratoonでは毎月その季節に応じた「クエスト」を中心に保育を行っています。
クエストの内容というのは、その季節にしかできないことを取り込んだり、子どもたちの声の中から生まれてくることもあります。
どんなクエストを行ってきたかはブログなどをご覧いただければと思います。
毎月、職員会議を行い1ヶ月を振り返りながら、子どもたちの様子や声を拾いながら、次にどんなクエストを作っていこうかということを話し合います。
そこで大切にしていることは、まずは大前提として「子どもたちが日々にわくわくできること」ということです。
開室して多くのご父母の方々からratoonは「いろいろな体験や経験をさせてくれる場所」「子どもたちの声を聞いてたのしいことを企画してくれる」というような声をいただきます。
そのような声をいただけることに、まず大きな狙いである「子どもたちが日々にわくわくできること」という目標が少しづつ形になってきていることを感じます。
しかし、ratoonで大切にしているこの「クエスト」をつくるときにもう一つ大切にしたいことがあります。
それは、例えばなにか楽しい企画を考えて体験するだけであれば、ratoonでなくても、色々なイベントや体験会など、様々な場所で経験することができます。
毎月つくっているクエストの一覧をみても、内容だけみればratoonでなくてもできるものはいくつもあります。
その中で、クエストの一つ一つを他では真似をすることができない、ratoonでしかできないクエストにするためにはどうしなければいけないかということです。
そのためにはひとつのクエストをつくるとき、またそれを展開していくときに、一辺倒に行うのではなく、刻々と変化していく子どもたちの姿をしっかりとみて、声を聞き、心をよせて形を変えていくということです。
0から1は苦手だけど、1を、2にも3にも広げていくことができる子。
自分からだれとでも打ち解けられる子、そうでない子。
自分のイメージを周りと共有することが得意な子。得意でない子。
子どもの数だけ得意なこと不得意なことがあります、またそれぞれの個性だけでなく、その時々の家庭の状況や背景の中で、子どもたちがratoonに求めていることも変わります。
その心を汲み取り、どんなクエストを用意するか、また同じクエストでも、子どもたちの様子や、メンバーなどに応じてどういう声掛けをするか、どういう準備をどこまでするか、どこまで任せてみるか、どのタイミングで提案してみるかなど、アプローチを変えてみます。
子どもたちを見ていると、日常の中で、大人の想像よりも多くの色々なものを消耗しながら生活をしているように感じます。
特に小学生になり身体も心も大きく成長するこの時期には、自分の興味や関心が大きく広がります、それによって友達との関係や距離感が変わっていったり、自分自身が得意なこと不得意なことがあるという現実とも向き合っていかなければなりません。
そんな日々の中で、時になにかをつくるだけでなく、自分の想いを聞いてもらうことだけで安心できるときもあるかもしれません。
身体を動かすことで発散できることもあるかもしれません、また自分のつくったものや計画したことが友達に伝わったり、感謝されたり、人とつながることで心が軽くなったり、自信を生みだすことがあるかもしれません。
ratoonの大前提である「子どもたちが日々にわくわくできること」ということの根底には、まず子どもたちが安心してただそこにいるだけでも居心地がいい場所であるということがなによりも大切であると考えています。
「クエスト」というのは、そんな場所をつくるためのに、ただ経験、体験をするためだけのものでなく、ひとつひとつのプロセスが子どもたちの安心や、居心地の良さにつながるものであり、自分の得意なことを伸ばし、不得意なことと向き合い、心の成長のきっかけとなれればと考えています。
今年度もあと3ヶ月弱となりました、今年度でratoonを卒業してしまう子どもたちも何人かいます、卒業までの1日1日を丁寧に、子どもたちの心に寄り添い、楽しんでいけるよう過ごしていきたいと思います。